デメリットにも要注意

やりがいがあり働くメリットも豊富にある有料老人ホームの仕事には、いくつかのデメリットも存在します。施設の種類や運営方針によって状況は異なりますが、介護職を目指す方はメリットだけでなくデメリットも理解した上で、自分に合った職場選びをすることが大切です。

同じ有料老人ホームでも介護付や住宅型などの種類があり、それぞれ入居者の介護度や提供サービスが異なります。住宅型有料老人ホームは比較的介護度の低い入居者が多い傾向にあります。そのため、身体介護の機会は少なく、生活支援に業務の比重が偏りがちです。具体的には、食事や入浴、排泄の介助といった身体介護よりも、掃除や洗濯、調理といった生活支援の業務が多くなります。

介護の技術を高めたいと考えている方は、住宅型有料老人ホームでは物足りなさを感じる可能性があります。例えば、経管栄養や褥瘡ケア、インシュリン注射といった医療的な処置を行う機会は、介護度の高い入居者が多い介護型有料老人ホームに比べて少ないでしょう。また、認知症の症状が重い方のケアや、ターミナルケアに携わる機会も限られてくるかもしれません。

将来的に介護福祉士の資格取得を目指している場合、実務経験として認められる業務内容にも注意が必要です。介護福祉士の受験資格を得るためには、介護職員初任者研修修了後、5年間の実務経験が必要です。この実務経験には、身体介護や生活支援といった直接的な介護業務が含まれます。住宅型有料老人ホームでは身体介護の機会が限られるため、実務経験年数を満たすまでに時間がかかったり、必要な経験が不足する可能性も考慮しなければなりません。